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ヘルメットとメガネの「相性」と「耳が痛い」問題の対策

バイクのヘルメットとメガネ

バイクに乗るときに眼鏡をかけているライダーは意外と多いものです。視力矯正のためにどうしても必要な方はもちろんのこと、日差しを防ぐためにサングラスを愛用している方も含めれば、かなりの割合のライダーがヘルメットとアイウェアを同時に装着していることになります。私も普段は裸眼で過ごすこともありますが、ツーリングの際にはサングラスが手放せないため、ヘルメットと眼鏡の相性問題には長年悩まされ続けてきました。

これからバイクに乗ろうとしている眼鏡ユーザーの方や、現在進行形で耳の痛みに耐えている方にまずお伝えしたいのは、その痛みは我慢する必要がないということです。ヘルメット選びやちょっとしたアイテムの選び方を工夫するだけで、あの締め付けられるような頭痛や耳裏の激痛から解放されることができます。今回はコレクターとして数多くのヘルメットを被ってきた経験から、眼鏡ライダーが快適にバイクを楽しむためのポイントについてお話ししていきましょう。

ヘルメット側の構造とメガネスリットの重要性

眼鏡をかけてヘルメットを被ったときに耳が痛くなる最大の原因は、ヘルメットの内装パッドによる圧迫です。ヘルメットは安全性を確保するために頭部をしっかりとホールドするように作られていますが、そこに眼鏡のツルという異物が割り込んでくるわけですから、当然ながら無理が生じます。特にこめかみや耳の上あたりは神経が集中しており、長時間圧迫され続けると最初は違和感程度だったものが次第に耐え難い痛みへと変わっていきます。一度痛くなり始めるとヘルメットを脱ぐまで治まらないため、ツーリングの楽しさが半減してしまう深刻な問題です。

この問題を解決するために最も効果的なのは、最初から眼鏡対応の加工が施されているヘルメットを選ぶことです。最近の国産メーカーのヘルメットや一部の海外製モデルには、チークパッドの上部にメガネスリットと呼ばれる溝が設けられています。これは眼鏡のツルを通すためのスペースがあらかじめ確保されているもので、これがあるだけで眼鏡の着脱がスムーズになるだけでなく、側頭部への圧迫感が劇的に軽減されます。私が所有しているコレクションの中でも、やはり最新のツーリングモデルはこのあたりの配慮が行き届いており、長時間サングラスをかけていても全く痛みを感じません。これから教習所に通う方や新しいヘルメットを検討している方は、試着の際に必ず自分の眼鏡を持参して、このスリットの有無と位置を確認することをおすすめします。

一方で、私が愛してやまない古いビンテージヘルメットには、当然ながらそのような便利な機能は備わっていません。昔のヘルメットの内装は単純なスポンジの塊であることが多く、そこに無理やり眼鏡を押し込むことになります。デザインは最高にカッコいいのですが、快適性という点では現代のヘルメットには遠く及びません。そういったヘルメットをどうしても使いたい場合は、内装のスポンジをカッターで少し削ったり、眼鏡の通る道を作るように指で押し潰して癖をつけたりといった加工が必要になることもあります。また、サイズ選びも重要です。眼鏡をかけるからといって安易にワンサイズ大きなヘルメットを選んでしまうと、今度は走行風でヘルメットが浮き上がったりズレたりして危険です。あくまでジャストサイズのヘルメットを選び、内装側で調整するというのが基本の考え方になります。

眼鏡のフレーム選びと曇り対策の工夫

ヘルメット側の対策だけでなく、かける眼鏡の方を見直すことでも快適性は大きく向上します。普段使いの眼鏡をそのままバイクでも使っている方が多いと思いますが、実はおしゃれな太いフレームの眼鏡はバイクにはあまり向きません。プラスチック製の太いセルフレームなどは厚みがあるため、ヘルメットと頭の隙間にねじ込む際に強い抵抗が生じますし、その厚みの分だけ頭を圧迫することになります。バイク用として割り切るのであれば、できるだけツルが薄く、弾力性のあるチタンフレームや金属製のフレームを選ぶのが正解です。柔軟性のあるフレームであれば、ヘルメット内での圧力うまく逃がしてくれるため、痛みの発生を遅らせることができます。

また、眼鏡のツルの形状も重要なポイントです。一般的な眼鏡は耳に掛かる部分が下に向かってカーブしていますが、ヘルメットを被った状態でこのカーブしたツルを差し込むのは至難の業です。無理に押し込もうとするとフレームが歪んでしまったり、耳を傷つけてしまったりすることもあります。そこでおすすめなのが、スポーツタイプのサングラスによく見られるストレートテンプルのものです。ツルが真っ直ぐに伸びている形状であれば、狭いヘルメットの隙間にもスッと差し込むことができ、着脱のストレスが激減します。私はバイクに乗るとき専用のサングラスを持っていますが、やはりストレート形状のものは圧倒的に使いやすいと感じています。

そして眼鏡ライダーにとって痛みと同じくらい厄介なのが、レンズの曇りです。フルフェイスヘルメットの中で呼吸をすると、自分の息が上がってきて眼鏡のレンズを直撃し、視界が真っ白になってしまうことがあります。特に冬場や雨の日は深刻で、信号待ちのたびにシールドを開け閉めしなければならず非常に面倒です。これ防ぐためには、強力な曇り止めジェルを塗っておくことが必須です。スプレータイプよりもジェルタイプの方が効果が長持ちする傾向にあります。また、ヘルメットの鼻元に装着するブレスガードというパーツを活用するのも効果的です。鼻息を下に逃がすことでレンズへの影響を最小限に抑えることができます。

眼鏡とヘルメットの相性問題は、多くのライダーが通る道です。しかし、現代のヘルメットの進化や、ちょっとした道具選びの工夫によって、その悩みは確実に解消することができます。痛みを我慢して走るのではなく、自分に合った組み合わせを見つけて、クリアな視界で快適なライディングを楽しんでください。眼鏡だからといってバイクの楽しさを諦める必要は全くありません。